COJBには、このような強化メニューの1つがある。
試合で1失点につき10周。どこを10周にするのかは、場所によって違う。
10周ではなく、タイム制になることもある。
その時々のシチュエーションによっても変わる。
これだけを読んだ人は「今時、罰走か!!」と思われる人も少なくないと思う。
ただ、試合に負けたからと言って、走るというものでは実はない。
言ってしまえば、先に繋がらない試合をした時に、強化メニューが発動するというというものだ。
綺麗にパスをつなぎ、格好の良いプレーしたから良いというものでもなく、
不細工でも泥臭く、最後まで相手のレベル関係なく、戦い続けた結果、
負けた試合は、このメニューは発動しない。先に繋がるからだ。
『こう戦えば、俺たちでも善戦は出来るんだ!!』と思えるようになるからだ。
要は何をこの年代に浸透させたいかと言うと、
「今、出来る事を、各々が一生懸命に最後までチームのために誠実に行動すること」
この習慣をサッカーという共同作業の競技で養って貰いたいから。
では、先に繋がらない試合内容とは?
各々の足が止まる。お互いのミスをお互いの責任に擦り付け、その間も足が止まっている。
サッカーという競技も、流れが悪い時がある。
その流れをこちらに呼ぶ時は、お互いの文句よりも、お互い聞く耳を持てるような声掛けもしていかなくては、成立しない。
でも、中学生年代では、中々そこまでの声掛けが上手くできる事の方が難しいのは、承知の上。
軽率なプレー、特に勝手なドリブルをして、奪われ、相手に奪われても自ら奪い返しに行かないで、人任せにしていることも多々ある。
メンバーの中にも格差があり、立場が弱そうな面子には文句を言うが、
そうでない面子がミスしても周囲がそのメンバーに対して何も言わない。
間違えると「お山の大将養成所」になってしまうから、気を付けたい。
流れが良い時は、良い声かけをしている。それは誰でも出来る事。
しかし、肝心なのは、流れが悪い時に、どうこちらの流れに仕向けて行くか?これが一番、若者の形成には役に立つことだと思っているので、それが出来るか否かは別として、やろうと挑戦しているか否かが大切である。
技術的に急に巧くなるのは、無理である。
しかし、その中で、各々が何をして、チームのために試みたか?
それも何もなく、負けた時。
試合で何も次に繋げられるものがない、精一杯やれずに、ただ遠征地に旅行しに来ただけで、1日を終わらせるのはあまりにも勿体ない。
ならば、せめて、体力強化ぐらいして、次に繋げて貰わないとね。
でも、実は、本当の真意は、ここではない。
どんなに100%出し切れず不完全燃焼な試合で終わっても、
試合後に走るのは、誰でもキツイ。しかも決められたタイム設定で。しかし、これが肝だ。
個人差はあるけど、極限状態にあることが大切。
試合で疲れていて、走る。
タイムを設定して、そのタイムに全員入る事が出来たならば、僅かの周で終われる。しかし、中々そう簡単に終わらない。
終わらないのは、コーチが意地悪しているのではなく、そのタイムに入れない面子が必ずいるのだ。
入れなければ走る回数が増える。タイムをクリヤしている面子も、そこまで余裕はないはず。苦しい状況が続く。
どんどん苦しくなる。
そんな時に、出てくるメンバーの言葉や行動に注目し、実はここにメンバー各々が持っている内面が露になりそれこそがこのメニューの狙いだ。
最初から最後まで脱落せずに、黙々と走りづつけている者もいる。
余裕はないが、なんとかギリギリの中で走っている者もいる。
一方、わき腹を抑えて、腹が痛いと言って脱落する者もいる。
足が痛いといい、脱落する者もいる。
あと、1秒でゴールしたか否かで、コーチに疑問を問いかけてくる者もいる。
早く終わりたいから、入れない者の手を引っ張って走る者も出てくる。
タイム内に入れない者に、「入れないなら辞退してくれ」と吐き捨てる者も出てくる。
入れない者に文句を言っている者も出る。
散々、タイムに入れず、周囲にも逆切れ的な態度を取って、途中走るのを放棄したかのように、戻って来ず、これで最後となった時、再度復活して、ベストタイムでゴールしてしまう者もいた。
「これができるなら、最初からやれよ!!」とコーチから突っ込まれていた者もいたが・・・。
極限に立たされた時に、どのような行動を起こすのか?
実はこれが一番、彼らの長いこれからの人生で大切なところだと思っている。
近い将来、無人島で1人暮らしを決め込まない限り、誰もが社会のコミニティに入って行くはず。
会社を立ち上げる者もいるだろう。
会社に就職する者もいるだろう。
やがて結婚して、家族という大切な1つのチームを作ることもあるだろう。
親になれば、子供に教育する義務も出てくる。
そのような時に、自分の生き様が出ることもあるだろう。
会社に就職しても、部署があるならば、その部署で仲間も出来るだろう。
いつも業績が上向きだけとは限らない。
就職した会社で自分に厳しい上司がいたとしよう。
「何で俺だけ言われる?」「むかつく」と愚痴る。
人間だからそう思ってしまうこともあると思う。
しかし、それを悪い方向に持って行くのか、それをバネに換えて上司を黙らせ、
認めさせれるような行動を起こすのか否かは、形成段階における環境で左右されることが、やはり多いようだ。
もっと遡れば幼少期の生活環境が物凄く子供に影響を与えるという話。
今、この時期に、好きなサッカーを通じて、養う必要なことが山ほどあるのだ。
この走りは、その若者形成メニューの1つだということ。
これを説明しても、「やはり、単に罰走でしょ?」と思う人も世の中にはいるだろう。
しかし、全ての人達に理解を得ようと思ってこの年代を指導していない。
要は、このやり方が、将来、若者に取って、力になっていないことには意味がない。
しかし、この恵まれた世の中で、それにどっぷりと漬かり、ただ、単に中学生にもなる若者達が、ボール蹴りだけして楽しんでいるだけでは勿体ないと思っているだけ。
養うものはいくらでもあるというこど。