全て戦い
日本人プレイヤー、元々実績あるなしに関係なく、王国ブラジルでメジャーで活躍するプレイヤーを輩出したい、いや、「輩出する!!」と言う意気込みで29年目。
特に際立った実績のない日本人プレイヤー達を
何名もプロデビューさせたのも事実。
しかし、まだメジャークラスは出してない。これも事実。
サッカー選手輸出世界一の国だ。
そんなに甘くはない。本当に簡単なことではない。
有能な選手が次々と出て来る国、ブラジル。
この世界に長く関わっていると、裏事情も熟知してないと、夢ばかり見ててもそれは本当に夢で終わる。
壁は果てしなく高い。
しかし、ヨーロッパでの成功者しか出ないのも
日本的にはバランスが悪い。
ヨーロッパでの成功者も、結局
Jリーガー→日の丸→活躍プレイヤーで、
実績なし、無名からはほぼいない。
険しい。簡単じゃない。
まず、ブラジルの下のリーグで活躍してました!
と言って、ブラジルのメジャーでは無理だったが、帰国してJリーグのクラブが契約してくれるか?と言っても、それも険しい。
だから、ブラジルでコーディネートする側は、
単純に、クラブに入れて練習させ、試合に出せば良いと言うもんじゃない。
しかし、いざ、公式戦に出る資格を得たなら、
仮に途中出場からでも結果出さないと次はない。
結果出さなくても、次があるクラブにいるのは、
それは、たまたま自分に近いレベル、それ以上のプレイヤーがいなかったからと思った方が謙虚だ。
そもそも、今日ダメでも、次があるなんて
思っている日本人プレイヤーに明日はない。
いつまで身内が自分に投資してくれるの?
いつまで、自分で汗水垂らして働いたお金が維持出来るの?
それ以外から自分に賃金が払われるようにしないと。
ブラジルも物価上昇中、円安、現地はドル安
日本人への経済的な風当たりは、思いっきり向かい風だ。そう何年も留学生では居られない。
しかし、一方、ブラジル国内のトップカテゴリーのクラブに所属する選手達は、ピンキリだが、物凄い高額所得者が増えたもんだ。
アメリカ、アラビア諸国、ヨーロッパの投資会社や富豪が、クラブを買取り、金払いが良くなった。
億万プレイヤーが沢山増えたのも驚きだ。
月給何千万も受けているプレイヤーなんて、
30年前は存在しなかった。
そんなプレイヤーが数々増えた中で、
いくら、最近、日本代表が強くなり、
プレイヤー個人評価も日本人が上昇しているとは言え、輸出王国ブラジルにすれば、まだまだ、
日本人プレイヤーなどは、見下され
バリバリ差別化される。
紅白戦さえ出して貰えなかったりね…。
むしろ出れるのが当たり前と思っちゃダメなんだよね。
ブラジルには、サッカー選手が次々と湧いて来る土壌があるが、日本にはそれがまだない。
ジュニアサッカーでは皆、平等で育成され、
チームで勝って一喜一憂している温かい、ぬくぬくした環境がある。
しかし、南米では、食うか食われるか?
の生き残り合戦が始まっていて、他に才能あるプレイヤーを持って行かれないように、親と契約を結び、有名スポーツブランドが、専属契約を結んでしまう。
それがまだ8歳と言うから驚きだ。
日本では、高校サッカーで活躍しプロか、
大学サッカーで活躍しプロか?となる。
大学サッカーで露出し、プロ契約して、22歳。
「おお!ようやく日本にも世界で認められる選手が出てきたな!」と思ったら、もう30近い。
世界基準をそう長く継続することは難しいよね。
全国に才能は沢山あるが、
ブラジルのように、全土にスカウトマンがいて、
面白い子がいたら、電話一本で、ビッグクラブのテストに行けるシステムはない。
だから、大会でよほど露出しないとスカウト観に来ないし、才能はそこで埋もれる。
このような環境下にいない、ぬくぬく育ちプレイヤー達をどう変身させて、ここブラジルで、戦士にさせられるか?
簡単じゃないよ。
これを考えると、中間にいる我も、戦いなんだ。
まず、ブラジルでサッカーを目指す上で、
自分の身分を理解しなくてはならない。
まず、サッカーに関しては、
貧困からの脱出、何としてでもサッカーで成功しなくてはならない状況下にいるのか?
ブラジル人、皆優しいけど、サッカーと言う世界に関しては、シビアで、表面的にはフレンドリーだけど、戦いの場、競争、とかになれば、
選手はもちろん、コーチングスタッフ、役員、
用具係、年中クラブを出入りしている選手代理人など取り巻く関係者は、皆、日本人なんて鼻から相手にしてない。
これは卑屈な気持ちではなく、
あらゆる場面で、そのようなことが見え隠れするから、そのような差別を感じた経験のある人間にしか判らない。
とにかく強くならないとダメなんだ。