場所、観る人が変われば、見方も変わる
日本では、育成カテゴリーの中でも、
ジュニアなら、J下部のセレクションが年に1回、Jr.ユースもJ下部から始まり街クラブ、
ユース年代もあるけど、
どれも、年に1回のこと。
先日もブラジルからこんな情報が入って来た。
プロ下部ではない、小さな街クラブに、名門コリンチャンスのスカウトが選手を探しに、試合観戦に訪れたよう。その中で、3人の選手に声を掛けて、次週から、コリンチャンスのユースクラスの契約選手達に混ざり、練習参加の要請をしたそう。
そこに入り、やれそうならば、契約。無理なら、またリベンジになる。
日本に例えるならば、Jリーグ下部のスカウトが、街クラブに訪れ、練習参加の要請をした感じになる。
トレセンや、主要大会に、J下部のスカウトや、コーチが視察する話は耳にするけど、
街クラブに直々に、しかも練習や、練習マッチに現れるなどは聞いたことがない。
スカウトの立場からすれば、確かに、主要大会、ユースなら、インターハイ、選手権など、聞いたことあるような大会や、元々、良い選手がいるという情報を聞いていて、その選手を追うことはある。確かに、優秀なタレントが存在しそうだし、一番、手っ取り早いこと。
また、Jクラブがセレクションを募集すれば、たちまち定員オーバーになる。しかし、狭き門だし、獲得枠も限りがあるから、そう簡単ではない。
また、選り優れを何百人の中から選考したのだけど、ちゃんと、トップまで育成し、契約に至るケースは、まだまだ少ないのが現状だ。
ここで、スポットに挙げたいのは、
J下部のアカデミーからのトップ昇格率の云々ではなく、
日本とブラジルを比較しても、
チームや大会の大小、選手が有名、無名関係なくチャンスがあるブラジルと、そうでない日本の差は、一体、どこに繋がってしまうのか?
というお話しになる。
既にあるタレントの取りこぼし。
また、これから露になるだろう、タレント。
発掘されにくいが、伸びる兆しがあるケース。
人はいつどこで、変わるかわからないし、
観る人が変われば、1の選手が、10になることもあるということ。
日本では、トレセンとは無縁、もちろん、J下部なんかは、無縁も無縁の選手が、ブラジルに場所を変えて、観る人が変わったら、名門コリンチャンスから、眼をつけられ、契約の話まで発展してしまった事実を間近で観て来た自分としては、
今回の街クラブへの同クラブのスカウト話は、珍しい話ではない。
確かにブラジルはサッカー大国、サッカーは国の文化だ。
しかし、日本のトップも、そうしないと、
W杯優勝、FIFAランキングトップ10の仲間入りは出来ないと思っているハズだけど…。
色々な文化があって、そこに行き着いているのは間違いない。
年間500人以上のサッカー選手を輸出しているブラジル、一方、到底それに及ばない日本。
そもそも、底辺のしくみ自体に問題があるから、選手層が生まれないと、昔から思い続けている。
だから、その仕組みをブラジルから力を借りて作らねば…と思っている。
埋もれるタレントを、救う仕組みがないこと。
それは、プロ組織のスカウト網が、あまりにも行動範囲が狭いということ。
街ジュニアクラブの指導者が、電話一本で、
選手を観てもらえる関係性。
年に1回の集大成で、選手を見極めて、
限りのある枠に入れても、トップ昇格無しは、どうでしょ?
ピラミッドの途中まで露出した現段階の選手しか観てないから、埋もれる。
スカウトネットの連係がジュニアからユースまでないのが日本。
あっても、ある特定のクラブ、関係者のみ。
これでは、選手輸出国には、一向に近づくハズがない。
日本代表がそれでも一昔より強くなったのは、紛れもなく、選手が個々に、外に出たからだ。これは、誰も疑わないだろう。
フル代表も、オリンピック代表も、選手リストを見れば、所属クラブが海外クラブが多い。外で、揉まれた選手が増えたから、強くなった。
そのような選手層を作りあげて行くには、育成年代で、いかに、子供達に、プロや、海外に意識させて行くことや、誰にでも可能性があるんだ!というポジティブな話を、地に足をつけさせながら、目標を持たせることも大切なのではないかね?
日本は、ジュニア世代でも、スポーツの素晴らしさ、運動の場を与え、青少年少女の健全な教育の場を提供していることは、素晴らしいことだけど、それで終わってしまっている感じは歪めないとも長年感じている。
サッカーに関わっている人なら、皆、日本代表が、W杯で日本がチャンピオンになっている夢を見たいハズ。その中に、自分達が、少しでも関わったことのある選手、近所にいたならば、心から応援したくなるハズ。
そのためには、色々な文化があるけど、育成文化ももう一歩、二歩先を視て、子供に関わる周囲も意識を進歩させないと、とても、辿り着かないと思う。