【育成日記】育成の本質って?

COJBを設立して23年。大変ありがたいことなのだけど、最初は16歳以上のプロ志願者を集め、港北区に2軒家を借りて、共同生活をして貰い、毎日、厳しい練習に明け暮れ、やがて、コンディションを上げたメンバーからブラジルプロに挑戦する。

ただ、横浜で練習だけしていても、試せないので、社会人リーグに参入し、戦うことにした。

メンバーはアルバイトもして、生活費を稼いだ。自炊、洗濯、掃除、なんでも自分達でやった。名もない面子がブラジルの地で観客の前でプロとしてデビューを飾る。

このような光景を割と沢山視させてもらった。とても、最初のレベルを考えたらプロなんておこがましいレベルのメンバーもいたが、人間、やれば。ある程度は夢を達成できるものなんだなとつくづく思ったものだ。トップチームの1期生は、もう40歳にもなる。

引退して第二の人生を送っている者が多いが、それぞれ全国各地で頑張っていることを知る。勤めている者もいれば、会社経営している者もいる。勿論、サッカーやフットサルに携わっている者もいて、Jリーグのフロントや選手の通訳などをやっている者もいて、多彩。

人生を懸けてサッカーに全てを注いだ彼らは、自立してしっかりと生活の基盤を作っている。

Jr.ユースを立ち上げたのが2005年。1期生は全学年でというか、初年度なので、1年生と3年生1人。その1人が激レアさんに出演した丸山だ。

プロを目指す集団とは言え、ただ、サッカーだけやらせて来た訳ではない。地域のボランティア活動を通じて、日頃の感謝の気持ちを私も含めて持つために、好きなことをやらせて頂いていることへの還元という気持ちでメンバーと活動してきた。

最寄りの駅の地域清掃はかなりこなしたと思う。地域のお祭りにも積極的に参加して、お手伝いさせて頂いた。新横浜の大きなフェスティバル、川崎の国際交流センターでのお手伝い、2002年W杯では、新横浜で外国人の接待もやった。その繋がりでフロンターレのホーム、等々力競技場のグッズ販売にもメンバーは駆り出されて社会勉強していたし、とにかく、頑張っていた。

人間としての形成途中の真っただ中にいる中学生の指導を開始して行き着いた結論がある。

Jr.ユースからもプロ育成したい、と、今も続けて思ってはいるが、年々指導させて貰って来て、それでも、高校以降もプロを目指し、プロとして頑張っているJr.ユースのOBはいるものの、そのような意気込みが続くメンバーが年々減っているいるのも事実だ。

1年生の時はほぼ全員「プロになりたい!!」って言ってるが、2年、3年になると、この語気は明らかに弱くなる。

この際、それでもいいのだが、もっと大切なことがあると思っている。

題名にあるように育成って?というものの本質はなんだということ。

中学時代に、華々しいチーム成績、トレセン選出、高校で即戦力として活躍、Jリーグに輩出。それはそれでいいだろう。

それで、将来、プロとして末永く生活をし、引退後も食うに困らない選手、人を育成するのもいいだろう。私も、そのような選手は輩出したい。

しかし、大半は一般的な社会人になる。

世の中、ぐずぐずした大人も多い。愚痴ばっかり垂れて、仕事しない人間もいる。

自分が出来ない事を棚に上げて、人の責任にする奴もいるだろう。

すくに弱音吐く奴。入社した後輩を、ストレス発散でいじめる奴とか、上司が厳しいと言い訳して逃げるように辞める奴とかね。

直ぐに諦める、腐る、人の責任にする。

そんな大人にならないようにサッカーという素材を使って若者を鍛えた方が、数名をプロにさせるよりもよっぽど価値のあることだと思っている。

これもJr.ユース13年間やって感じたことだ。

だから、壁が沢山あった方が沢山教材ができる。

最近、嬉しい事があった。

現役高校生OBだ。彼は中々サッカーの強い高校に通学している。

その強い高校で1年からスタメン張って、派手に活躍している!!

のとは正反対で、一番下のクラスにいるらしい。

先日、練習場を後にし、帰宅途中「今野コーチ!!」と背後から声が聞こえた。

「えっ誰だ?」暗闇で誰か最初判らなかった。近くに来たらOBだということが判った。

「お前、何にしてんだ?」OB「自主トレしてました」と。

「そうか、お前、チームではどうだ?」と聞くと「一番下のクラスにいるので、自主トレしてました!!」としっかりとした口調で、しかも、眼をギラギラさせて私に近況を教えてくれた。彼と「チャオ!!」と別れて自宅に着くまで色々彼のことを思い出した。

一番下にいても、腐らずに、いつか絶対に結果だしてやろう!!とひたむきに努力していること、また、そのスタイルを高校に行って進歩させている彼を見て、

『これが育成だな』と思った。

Jr.ユース時代、スタミナ練習の時は特に、厳しい連帯タイム制。全員、与えられたタイムに入らなければ延々と走り続けなくてはならない。

彼は、中々ゴールできなかった。仲間も苦しくなり「お前、競争から脱落しろよ!!」と何回罵られたことか。

どんなに辛いことがあっても辞めない。最後まで諦めない、この姿勢が、高校に行っても

貫けている彼は、COJBの育成の誇りだ。

華やかな選手を育成するものいい。しかし、彼のように、先の希望を持ち、気持ちを下げることなく、ひたむきに努力し続ける男は、人の心を惹き付ける。まだ、途中だとは思うが、私はこのような人を応援したいと思う。

どこかで、活躍することを祈りたい。

やりもしないで諦める「俺、無理」と。

「俺、監督、上司に嫌われている、だから腐る」「どうせ俺なんか」

若い時代に形成されたネガティブな思考は、いい年した、大人になって露骨に出る。

COJBの面々には、そんなネガティブな人間には決してなって欲しくない。

チームとしては、県のトップを目指すのも、関東を目指すのもいいだろう。

しかし、育成的には、こっちの方が何十倍も価値があり、死ぬまで使えるカイロとなるだろう。

色々な育成があり、成功例はあるかもしれないが、彼も、成功例の一人に入れても大げさではない。これが最近、育成で嬉しかったことかな。

育成の本質を改めてOBに教えて貰った。

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