【育成日記】日本サッカーの育成の問題点①

現在、小学6年生でJr.ユースのクラブをまだ探している方々に現実的なお話をさせて頂きます。

6年生のお子さん、保護者の方々は、U13リーグに注目しています。

何故ならそこに入れば、そのリーグへの一番近い参戦対象になるからだと思います。

 U13リーグで上位にいるクラブから検索し、セレクションを受けると思います。

それは「より高いレベルで経験を積みたい」という意識からだと思います。

 この考えは、更に高みを視ている選手なら当たり前のことだと思います。

 しかし、上位クラブに誰もが入団できるものではありません。

また、チーム成績関係なく大人数のクラブもあります。そのクラブに入り、育成的に何を求めて行くか?が大切になってくると思います。例えば、Jr.ユース連盟に規定がありますが、

 U13リーグの参加資格は1クラブから複数チームを出すことが可能です。例えば〇〇チームA、Bというように。

しかし、1チーム最低15名以上いないと2チーム登録が出来ません。

つまり、2チームエントリーするのであれば、同学年30名が在籍しなければ成立しません。

もし、30名を割ってしまったとしましょう。

当然1チームしかエントリーできないため、スタメン11名、交代こそ自由にはなっているものの、1学年29名いるクラブなら、18名は控えになります。

 この状況になってしまった時、育成的にはどうでしょう?とても、適切な育成環境とは言えなくなってしまいます。

 「息子には競争が大切」 

 確かにスポーツの世界、競争は大切です。ポジション獲りたいから、隠れてでも努力する気持ちが芽生える。確かに育成にそれているとは思いません。

 ただ、どのクラブも上のリーグに昇格したいと思います。30分ハーフの試合に果たしてメンバー全員公式戦に出場させるか?です。殆どのチームはそれをしないと思います。

 基本的にこの年代、競争させるとはいうものの、補欠要員を沢山作ってしまうのは、日本サッカーの将来を考えればプラスにはならないと思っています。

Jr.ユース、人数を抱えないと運営が成り立たない。

これが現実だと思います。チーム成績が上位、強豪であれば、おのずと人は、そこを求めて来ますから、セレクションなどは満員御礼です。

では、人数を抱えた後、どう育成年代に導いていくかです。

U13リーグに出場できると思って期待して、そのクラブに入ったものの、1チーム登録しか出来ず、中々、公式戦に出れない。

当然、U14、U15にも人数をある程度、人数を抱えていれば、U13のメンバーを飛び級で公式戦に起用していくのは、中々チーム事情として難しい。

前述したように、中学1年生が最低30名在籍しないと、1クラブから2チーム出せないのですから、緊張感のある、公式戦に出場し、公式戦の経験が積める選手が限られてしまう。

この状況がユース年代なら、ある意味仕方がない。しかし、Jr.ユース年代からこの状況では、育成という視野でみればあまり好ましいことではありません。

運営等を考えずに育成を考えた時は、1学年17名が限界。20名でも多いくらいです。

Jrユース年代の競争は勿論、どの年代でも大切ではあるものの、やはり、経験をより多く積むことを重視して考えることが、より長く、夢を持ってサッカーを続けるきっかけになります。

近年、育成年代の完成期とするユース(=高校)年代までが真剣にサッカーをするということのピークになっている状況が窺えます。

高校サッカーの県予選を観に行くと、特に私学は多くの部員を抱えているのが判ります。スタメン11名、控えに7~8名。均衡した試合で、控えのメンバーを全員起用されることは難しい。それにもまして、メガホンを持って応援しているメンバーの多さには驚きます。要は、試合要員から外れてしまっているメンバーです。それでも「日本の文化で、チーム一丸となって戦うこと」が素晴らしいというものがあります。

「高校で燃え尽きる」

早過ぎます。ブラジルやヨーロッパもそうですが、U18の上にU20、U23もあります。日本のようにU18でいきなりプロ、U18でダメならサッカーは諦めという環境はあまりにも良いシステムではない。

ブラジルでは、20歳までプロ契約できなければ他の分野にチェンジします。

せめて、ここまでは上を目指してやって頂きたいのですが、高校を出て、真剣にサッカーを続ける環境が日本にはあまりにも少ないのです。高校卒業から20歳までの2年間、大学以外でもサッカーに打ち込む環境があれば、もう少し、目指して頑張って見る選手が増えるはずです。

これが、日本のサッカー選手層を作る土壌の1つです。

Jr.ユースで試合経験が足りず、ユース年代でも試合が出来ない。より高いレベルでサッカーをしたいと思わせて行くこと、可能性を広げること、このことが本来の育成クラブの在り方、指導者の役割だと思います。

試合に勝って、昇格することはモチベーションとして良いですが、試合に出場していないメンバーにも、個々の指導がされていなければ、やがて、その選手はサッカーがつまらなくなり、サッカーを止めてしまいます。

1クラブ1チームでリーグ戦参加であれば、試合にエントリーされなかった選手をわざわざ交通費使って遠方まで応援に行かせて、帰宅させるだけであれば、エントリーしなかった選手達だけを集めて、TRM、もしくは練習することの方が、チームの底上げになります。よっぽど育成していると思うのです。そこで、問題なのは指導者の数です。試合帯同するコーチとノンエントリーの選手をケアするコーチと最低いなくてはなりません。

育成年代の選手達を沢山獲得したのであれば、それなりの責任がついて回るという事です。このような現状がまだまだ日本のサッカーの育成的問題点は沢山あるのです。

このような状況は、そのクラブに入ってみないと実感できないのが現状です。

一度そのクラブに入り、試合に起用させて貰えないことが続いても、日本の育成年代の選手達は、黙って耐えてしまう。

『自分の努力が足りないんだ』

と思って奮起することは大切です。しかし、あまりにも試合経験が積めないのであれば、積めそうなクラブに移籍もありではないでしょうか?しかし、現状は違います、クラブチームからクラブチームへの移籍はなく、クラブを辞めた選手は部活に移籍するケースが殆どです。

何故なら「裏切り行為」「試合で辞めたクラブと顔を会わせることが嫌」などの理由が挙げられます。

育成とは全く関係ない理由になります。

これらの問題点は全て、日本サッカーの育成全体の歪になってしまうということです。

裾野は広くサッカー好きが増える。しかし、上に行けば行くほど途中で諦めてしまう選手が多いことは、選手層を削っている原因にもなっているということです。

なので、考えなくてはならないと思うのです。

子供を次のステージにバトンタッチさせるU12の指導者、また、その子供達をU12クラブのバトンタッチを受けて、指導するJr.ユース年代のクラブと指導者。

ジュニアの指導者は、子供の保護者以上にJrユースにある問題点を把握して貰い、送り出す側の最後の責任として、バトンタッチをすることが育成の連携になるのではと思っています。

「うちから強豪Jr.ユースクラブに内定が決まったから凄い!!」

これがジュニアクラブ、又指導者達のステイタスになってしまっているのが事実であれば、あまり、日本の育成の将来は明るいとは言えないでしょう。

全ては、下から上まで「育成」で繋がっていなくてはならないということを地域単位で深く関わり合うことができれば、日本からも久保を超える選手が沢山できると思うのです。

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