【育成日記】育成の問題点~地域編~ジュニア、Jr.ユースで技術の精度を

育成の問題点11.1.2020

中学3年にもなると、身体が大きくなり、高校生と既に変わらない体格になり、パワー、スピードも変わる。

高校生とやっても引けを取らないと思います。

しかし、試合を拝見していつも思う事は、残念ながら、技術がそのパワー、スピードと並行して養われていないということ。これがいつも視ていて、勿体ないし、本当に残念なことなのです。

この選手達が、このままそれに気づかないで高校でもサッカーを続ける。

高校サッカーも県予選を拝見しても、同じく、良い体格、スピードがあるけれど、技術が伴っておらず、

『勿体ない、折角、恵まれたものがあるのに・・・』と、私の育成魂に更なる闘志が浮かんでしまう。

技術・・・。一言で現わすと、ボールを捏ねるテクニックと日本では思ってしまいがちですが、

違います。動きながら、スピードに乗ったまま、正確にプレーできる基礎のことです。

例えば、Jリーグなどプロの世界。J1でもJ3でも、同じプロです。

個として優れた選手達の集まりです。同じくスピード、パワーはディヴィジョン関係なく、持っています。

皆、同じスタートラインに立って「よーいスタート!!」で50m走して、J1の選手がJ3の選手を圧倒的に突き放してゴールするなんてことはありません。もしかすると、J3の選手の方が、J1の選手より足が速いし、

パワーもあるかもしれません。

しかし、問題はそこではありません、1つだけ違いを挙げるとしたら一体何がJ1とJ3のレベルが違うのか?

試合をしっかりと見比べれば歴然です。

それは何かと言うと、1つ1つの技術の精度が違うのです。上に行けば行くほど技術の精度が違うのです。

トップスピードで正確なプレーが出来るシーンが多いということです。更に、J1と海外のサッカーを比較すれば、またその違いに気づきます。決定する時の精度も含めて。

では、また育成年代の話に戻ります。

Jr.ユース年代も、ディヴィジョンが上がれば上がるほど、個々の能力は違います。

セレクトされた選手達はスピードあり、パワーあり、体格も違う。

地域レベルの試合であれば、それだけで、断然差があります。

このようなことを身に着けたら、もっと上で通用する選手になるのですが・・・。

といつも思ってしまいます。

例えば、ボールを貰う時の身体の向きから、トラップした直後の目線とボールの位置。

そして、実際に出すパスの精度。味方が止まって受ける時と、スペースに走っている時のパスの強弱、しっかりとコントロールされて出されているか?また、受ける側は正確に、背後にマークしている選手にボールを見せないように正確にボールを収め、正確に前を向いた選手にボールを落とせているか、

また、スペースに走りこんだ時に、正確にボールをストップしているか又は相手DFの足が届かない場所に、しっかりとスピードを落とさないでコントロールして、ゴールに向かっでいるか?

ファーストコントロールの置く位置はどうだろう。敵のDFの足が届かない所に、しっかりとボールをコントロールし、次への連動でプレーできているか。

時折、弾んだボールを相手の頭上を越して抜く、ブラジルではレンソウ、シャペウという技がありますが、

その技をやる発想は良くても、ボールをタッチのタイミングが悪い為、殆ど全部、相手DFに読まれ、身体を入れられてボールを損失している。これは基礎では無いですが、基礎があれば、可能な技です。

スピード、パワーがあるため、どうしても力任せにサッカーをしてしまう。

力が入りすぎて、ドリブルが大きくなり、肝心な見せ場で簡単にボールを失ってしまう。

高校生みたいな体格している選手、味方のGKが蹴ったロングボールを背後に守備かいるシーンが多い。

しかし、その大きな体で、巧く身体を使い、正確にボールを収めることができれば、

まず、後ろのDFはこの選手からボールを奪うこと、ボールに触れることすらできないでしょう。

ドリブル。スピードが止まってしまい、サイドで密集した所では、足技を持っている方が有利。

しかし、中央でボールを余計にこねくり回せばたちまち、強いプレスにかかり、ボールを失い、DFに迷惑が掛かってしまいます。適材適所でドリブルのやり方を使い分けられること。

ドリブルやフェイントをして、簡単に相手DFに読まれたり、勝手に引っ掛けて、カット、奪われたりしている選手が多いですが、スペース見ながらドリブルすれば、DFの足が届かないところになる場合が多い。

スピードはそれでなくても武器。しかし、その武器が、武器になっておらず、スピードあることが、却って、プレーの雑さに繋がってしまっている日本、いや、地域の育成年代の選手、物凄く多いです。

余計なプレー、イベントプレー、つまり、飾ったプレーがその選手の質を落としてしまっています。

もっと厳しい言い方をすれば、自己満足で、チームの貢献どころか、リズムを崩してしまっています。

胸トラップが一瞬「おっ!?」と思ったら、その後のバスが雑で、結局、相手DFに簡単に渡している。

パスを出す際に、ヘッドアップしていないため、受け手の状況が把握できず、簡単にボールを相手DFに奪われカウンターを狙われているシーン。全体的に腰の位置が高い選手が多く、横からタックルされた時にバランスを崩してしまう選手が、体格が良い選手でも多い。また、パスの精度もボールを視て、ヘッドダウンしている為、相手DFに引っ掛けているシーンが多い。

実例を挙げれば切りがありませんが、多くの候補生からセレクトされた選手でありながら、

3年生になっても、このようなことが改善されていないということは、何か、育成の現場に問題があるのではないでしょうか?と思ってしまうのです。

最も気になるのは、高校生年代になったら、よっぽど、その個の技術レベルに拘ったチームに入らない限り、

このような選手達は、折角、武器がありながら、改善されることなく、この年代に上がってしまうこと。

これが一番、問題なのではないか?ということです。

高校年代では、まず、このような指導はして貰えないと思っていた方が良いと思います。

強い高校に行けば行くほど、部員が半端ない数です。そのような環境で、誰が、技術的指導をするか?です。

高校までで、サッカーを辞めてしまう選手、非常に多いです。

1つの区切りの年代?燃え尽きてしまう?

私はその度に、日本のサッカー界の選手層がまた、1人ずつ欠けて行ってしまうのだな?と

残念で悲しくなってしまいます。

目指す選手が多ければ多いほど、その中から、プロでも通用する技術の精度を持った選手が出てくれば、

上の選手を脅かす存在にもなる可能性あります。

スピード、パワー。これは、上に行けば行くほど、多くの選手が持っているものです。

しかし、実戦で、精度の高い技術を持つ選手は、かなり絞られてきます。

本物の基礎技術を持っている選手は、ボールが来ても焦りません。

何故なら、その選手は、既にボールを視ているのではなく、走っている味方を視てトラップし、

パスを出していますし、スペースを視ながらトラップしているので、シンプルなドリブルでも相手をすらすらかわせてしまうのです。

大半の選手はボールを視てドリブルするので、ゴールと違う方向に相手DFに追いやられてしまい、折角のチャンスがチャンスでなくなってしまうのです。

このようなことは、選手自身が本来、自ら気づければ良いですが、そのことを自ら気づき、改善できる選手ならば、

既に代表になっていると思います。

やはり、指導者ではないでしょうか?

試合の勝ち負けは当たり前のように大切です。誰もが勝つために日々練習しているのですから。

しかし、Jrユースは、ユース年代で花を咲かせるための、基盤作りの年代です。

元々持っているものに花を添えて行く、また、特徴がない選手には、特徴を見出してあげる。

サッカーは、足の速さや体格だけでサッカーが通用するのは小学生と、中学1年生まで。

中2からは、しっかりと技術と精神的な指導を並行して指導しなければ、埋もれてしまうことになり兼ねません。

勿体ないのです。このようにJr.ユースで起こっている現状を、より多くのジュニアの指導者、

保護者の方々に知って頂ければと願います。

「自分の子供はそこまでではないから・・」

そんなことはありません、スイッチ1つで意識が変わり、みるみる上達する選手、沢山います。

大切なのは見極めです。それだけ、中学3年間は色々な意味で大切だと思います。

関連記事

  1. 【育成日記】OBプロから学ぶもの

  2. 【もっと熱くならないか?】なぜ、高校サッカーが終着点なの?

  3. 【Jr.ユース追加募集中】新中学1、2年生、GKも歓迎します…

  4. 【遠征8日目】リベルタドーレス杯

  5. 【ブログ/もっと熱くならないか!!】改めて思うこと

  6. 【育成日記】日本人の気質、大事なことをコツコツと