インターネットニュースなどで、日本でも時折記事が出ると思うけれど、現在、ブラジルで1、2を争う名門パウメイラスから、スペインの名門レアルマドリードに移籍が決定している16歳のゴールゲッター、エンドリッキという選手がいる。なんとその移籍金は、100億を超える。
この金額の値上げには、数々の名門が同選手にオファーを出し、その中に、あのメッシやネイマールも所属するPSG(パリ・サンジェルマン)も最後まで彼を獲得するために、争っていたが、最終的に本人がレアルを選択したことで合意に至った訳だけど、レアルが競売でリードしたという訳だ。
彼は、18歳の誕生日を迎えた時にレアルに合流することになっている。FIFAの規定で、18歳に満たない選手が外国に移籍して試合に出ることを禁じられているという理由がある。
それまでは、現在所属しているパウメイラスでプレーすることになる。彼は、15歳の時から同クラブのU20のチームに合流し、128クラブが参加する全国大会U20に出場し、自らのゴールで、チームを優勝に導いている。その後、16歳の誕生日を迎えた時に、同クラブのトップチームと、プロ契約を結び、終盤には近かったものの、全国トップリーグで、デビューし、既に3~4ゴールを僅か数試合で叩き込んでいる。いままでも、ペレの再来、ネイマールの跡継ぎになる選手など、候補は沢山いたものの、早くデビューして、本当に同選手達のような選手に到達しているか?と言えば、それは、難しい。
順調に活躍して、代表に選出され(勿論、エンドリッキは、育成年代のブラジル代表ではあるが)本当の意味で、ネイマールの後、繋げることが出来るかは、誰もまだ判らない。
しかし、このエンドリッキ、生い立ちはネイマールと似ていて、決して裕福な家庭で育っている訳ではない。むしろ、1日3食を普通に摂れない家庭に育っている。
パウメイラスでゴールを量産し、活躍している息子を見守っていた父親が、涙を流しながら、インタビューに応えていたいた内容が印象深い。
「ある日、彼が家に帰って来て、お腹が空いたと言ったが、食べさせてあげる生活状況ではなく、泣きながら、息子に謝ったんだ。すると、彼は、私にこう言った。お父さん、大丈夫だよ、僕が、サッカーでプロ選手になり、楽をさせてあげる」と。
父親は、息子の才能を、ビッククラブが集結するサンパウロ州の都市部に売り込み、そのテストを受けるためにも、交通費がないため、ヒッチハイクで、サンパウロの都市部まで辿り着いた。
11歳という年齢もあり、せめて、父親も都市部に引っ越して、息子のサポートが出来るよう、サントスFC、サンパウロFC、コリンチャンスのテストこそパスはしたものの、父親は、同クラブの職員として働けないかも一緒にお願いしたが、その望みは叶わなかった。しかし、唯一、パウメイラスだけは、同選手を合格と同時に、父親に仕事を用意した。
順調に成長した同選手と、サポートする父まで生活のサポートをしたパウメイラスは、移籍の70%に関与できる状況にいる。当時の同クラブがどこまで彼の将来性を見据えて、父親の職業まで手配したのかは判らないが、ネイマール父もサントスFCから同じ待遇を受けていたのを思い出す。
1日1食の生活から、同選手の家族にはレアルから17億円もの大金が入ることが約束されているそう。まさにブラジリアンドリームなお話。また、同クラブには、エンドリッキ同様、15歳の宝石がPSG入りすることが決まっている。その名は、エステーバン・ウイリアン(愛称メッシーニョ)。
15歳かぁ。日本では、まだこれから高校生になるために受験をしている最中だよな。
もちろん、ブラジルも特にクラブは、選手に学校を義務付けているけれど、プロ選手へのプロセスはやはり違うよね。
日本選手が世界基準として視て貰えるには、日本代表になって、W杯で活躍すること。でも、「おっ!三苫選手かぁ、活躍したなW杯で」と言っていたら、次のW杯では既に30歳手前だ。彼が今、18歳だったら、と思うけれど、一番、年齢が若かった久保は今回のW杯では世界トップ基準の若手選手にはなれなかった。
土壌を変えて行かない限りは、中々難しいのでは?と常々思う。