【育成日記】Jrユース新チーム始動

最初はもしかすると、他のクラブの選手達と比較すると、見劣りして、チーム成績も振るわないかもしれないけれど、いままで通り、1人1人、じっくりと観察して、中3で兆しを見せ、ユース年代では、多くの人数の中に入っても、埋もれないような確固たる個のベースを作って送り出したいと思っている。

それには、いつも指導していることだけれど、厳しさの要素は欠かせない。上は甘くないから。

突出したものはないけれど、特徴は各々ある。

例えば、足の速さ。小学生時代にリレー戦に選ばれたことのある人なら、足は速いと思う。このまま陸上部の短距離をやるなら、それはそれで生かせるだろう。

しかし、足でボールを扱うサッカーとなれば、勝手は違う。では、そのスピードをサッカーでいかんなく発揮するにはどうしたら良いのか?だ。元々持っているものだから、これを大きくしていかなければ勿体ないと思うのだ。

足の速い、サッカーをする人は山ほどいる。では、足の速い人が皆、U15,U18を経てプロ契約に行き着いているか?と言えば、それはない。

足が元々速い人は、その足の速さに任せて、なんでもスピードで勝負しようとする。しかし、その前に、しっかりと正確にボールをコントロールできなければ、いくら速くても、一向に、相手ゴールには近づかないし、キックオフ直後は、相手も警戒はするけれど、やがて、相手もしっかりと対応してくるものだ。

たった1つのターン、コントロールが遅れただけで、相手の守備は帰って来て、一瞬でチャンスがなくなる。前のスペースががら空きで、そのままGKと勝負できるなら良いが、そんな機会は滅多に訪れない。また、仮に、1チャンスあっても、それをしっかりとゴールできる、冷静さ、精度がなくてはチームを勝利に導けない。僅か、1つのコントロールをその場面で、適切なスペースに置き、スピードに乗れる技術が必要である。後方から飛んできたロングーボールを、スピードを落とさないで、正確にコントロールする技術があれば、そのスピードは、相手守備陣を脅かす武器となる。

いくらボール扱いが器用でも、相手にとって、脅威な選手にならなければ、それはただの、イベント屋になってしまう。グランドは広い。小細工している間に、相手は守備陣形を整えてしまう。味方との呼吸も合わなくなり、やがて、その選手はチームで浮いてしまう。

ボールを持つべき場面、そうでない場面をしっかりと判断する力が必要になる。

一方、鈍足の人。足が遅い人は、明日、100本ダッシュを繰り返しても、中々、足は速くなるものではない。しかし、サッカーは、全て足の速い者が上で君臨できるとは限らないのが面白いところだ。

スピードがないのであれば、正確な技術を身に着ける努力、判断のスピード、相手より出だしを早くするとか、首をぐるぐる回して、状況確認し、狙いが定まったら、ボールを積極的に声を出して受けに行き、無駄のない、ファーストコントロール、更に、身体も小さいなら、相手の足の届かないスペースにボールを置き、しっかりと、味方に蹴る技術を身に着ける努力をすれば、必ず、上で評価してくれる指導者はいる。スピードなくても、運動量は努力で養えるから、足の遅さを、賢さと技術で十分カバーできる。

身長に恵まれているなら、それは存分に活かさないと勿体ない。仮に、中1までの限定(2年以降は周囲も大きくなるため)だとしても、ヘディングは絶対に負けてはならない、しかし、しっかりと当てる技術、ジャンプするタイミングが悪ければ、身長があっても勝てるようにならない。身体が大きい分、キック力も小柄な選手よりあるとしても、クリヤーするには役に立っても、枠の中に入れることや、味方に正確に蹴るという技術がなければ、これはまた、上では起用して貰えなくなる可能性は上がる。

元々持っているものを、本当の武器(どのレベル、どの環境でも変わらずにやれることを意味する)に変えて行くこと。持ってないなら、武器を作ればいい。十分に間に合う年代だ。

皆、一色単に練習する時もあれば、ポジション別に強化する時もある。

公式戦に行って、皆が全ての分数が出れるものでもない。しかし、ただ、試合を観て帰るだけなら勿体ない。ちゃんと、次は出場できるように準備して帰宅するのは当たり前。個々を育てるということは、それがベースだと思うから。

ジュニアユース年代は、メンバー全員がレベルアップするべきだ。特定のメンバーだけが、優遇されるということはあってはならない。全ては高校以降でも活躍できる選手になるためだ。

身体能力だけでサッカーが通用するのは、せいぜい中学1年生まで。

しっかりと中身を詰めて、チームとしても結果を残したい。

いよいよ10日から公式戦だ。クラブユース選手権は、U15の大会だけれど、新1年生にもチャンスがあるなんて、中々ない。先輩も、うかうかしていられない。下からの突き上げに負けないよう、努力を重ねて欲しい。

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